南米大陸の南東部に位置するワイン生産国ウルグアイ。その中でも、豊かな自然と醸造の歴史を誇る名醸地『カネロネス』は、まだ日本では馴染みが薄いかもしれませんが、そのテロワールを反映した非常に魅力的なワインが多く生産されています。
では、どのような特徴を持ち、どんな魅力があるのでしょうか?
この記事では、
- ウルグアイの名醸地カネロネスの特徴
- カネロネスの主な作り手
- おすすめのカネロネス産ワイン5選
をご紹介します。
この記事を読めば、きっとお好みのカネロネスのワインが見つかります。是非最後まで記事を読み進んでもらえると幸いです。

ウルグアイの名醸地『カネロネス』の特徴
ウルグアイ南東部、首都モンテビデオの近郊に位置するカネロネスは、国内のぶどう栽培面積の約3分の2を占め、多くのワイナリーが集まるワインの名醸地です。
温暖湿潤な気候と、独特の土壌は、ウルグアイ国内でワイン製造に適した土地であるため、多くのワイナリーがこのカネロネスに拠点を構えています。
まだ日本ではマイナーな産地であるため、販売数も少なく、やや金額が高めに感じるかもしれません。しかし、カネロネスのワインはその価格に見合う非常に高品質な味わいを持っています。一度飲めばその魅力に引き込まれることでしょう。
カネロネスの気候
カネロネスは大西洋に面してしており、温暖で温潤な海洋性気候で、ぶどうの生育期間を通じて安定した温度と湿度を提供してくれます。そのため、高品質なぶどう栽培に適した環境を作り出しています。海からの穏やかな風がぶどう畑を吹き抜け、過度な暑さを和らげるとともに、病害のリスクを低減する効果も存在しています。
また、カネロネスの地形は、比較的高い標高と広大な平地となっています。ゆるやかな起伏が続く平野部には、多くのワイナリーが集まり、お互いしのぎを削ってワイン作りに営んでいます。
大西洋の影響を受けた温暖湿潤な気候と、標高のある広大な平地という地理的条件が相まって、カネロネスはウルグアイワインの多様性と品質を支える礎となっているのです。
カネロネスの土壌
カネロネスの土壌は、主に粘土質で構成されており、高い保水性を誇ります。これにより、乾燥した時期でもぶどうの樹が安定して水分を吸収できるため、健全な成長が促されます。さらに、この粘土質の土壌は、ミネラルをはじめとする豊富な栄養分をぶどうよ樹に供給し、ワインに複雑な風味と深みをもたらします。
また、カネロネスの土壌には石灰岩が多く含まれています。石灰岩は、地質をアルカリ性に保つ作用があり、このアルカリ性の環境が、ぶどうの持つ自然な酸味を穏やかにコントロールする働きを果たし、結果として、過度な酸っぱさがなく、口当たりがまろやかでバランスの取れた上質なワインが生まれるのです。
粘土質土壌の豊かな栄養と保水性、そして石灰岩による絶妙な酸味の調整。これらカネロネスならではの地質が、良質なワインを生み出し続けています。
カネロネスの主要品種
カネロネスでは赤白問わず多くのワインが作られていますが、主にはウルグアイを代表する品種である「タナ」や、白ワイン用品種である「シャルドネ」「アルバリーニョ」といった品種が多く栽培されています。
特に、カネロネスの粘土質の土壌はタナにとって最適な環境です。この土壌が供給する豊富な水分と栄養分は、ワインに厚みと力強いタンニンをもたらします。
更に、石灰岩を多く含むので、シャルドネやアルバリーニョといった繊細な白ワイン品種に適切な酸味をもたらし、良質なワインを生み出しています。
カネロネスで作られたワインの味わい
では、カネロネスで生産されるワインはどのような味わいなのでしょうか?
赤ワインは、粘土質の土壌から深みとバランスの取れた味わいを持ったワインが作られます。特にウルグアイの代表品種であるタナは、豊かな果実味としっかりとしたタンニンの中に、程よく酸が含まれる、バランスの取れた良質なワインに仕上がります。
白ワインは、石灰岩を含む土壌の影響で、アロマが豊かでミネラルを多く含んだワインが作られます。更に酸味とのバランスが取れたワインが仕上がることでも有名です。
『カネロネス』でワイン作りを営む作り手
ウルグアイ屈指の名醸地カネロネスでは、その恵まれた土壌と気候条件により、多くのワイナリーが集まっています。これらのワイナリーは、カネロネス独自のテロワールに対する深い理解と愛情を持って、ワインに魂を吹き込んでいます。
では、情熱あふれるカネロネスに畑をもつ代表的なワイナリーをいくつかご紹介します。
ボデガ・ボウサ (Bodega Bouza)
近年、ウルグアイワインの新たな可能性を切り開く立役者であり、パイオニア的な存在の「ボデガ・ボウサ」ウルグアイワイン界のトップランナーとして知られています。
少量生産・高品質をモットーとし、ウルグアイのテロワールを最大限に表現することに注力。徹底したナイト・ハーベスト(夜間収穫)など、品質への揺るぎないこだわりが、彼らの伝統的でありながらもモダンなワイン造りの根幹を成しています。
彼らが手がけるワインは、伝統的ながらも現代の食卓に合うモダンな味わいを生み出しており、その品質は世界中で高く評価されており、ウルグアイワインの多様性と国際的な競争力を象徴する旗手となっています。
ピッソルノ・ファミリー・エステイツ (Pizzorno Family Estates)
1910年創業の歴史を誇る家族経営ワイナリーで、ウルグアイの地に深く根差し、伝統的なワイン造りのスタイルを大切にしながらも、革新的な挑戦を続けている「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ」
サステナブルなワイン造りに力を入れ、自然環境への深い配慮を徹底しています。電力の97%を再生可能エネルギーで賄い、重力を利用したグラヴィティ・フロー・システムを導入するなど、持続可能性を追求したワイン造りを行っています。特に、ステンレスタンクを積極的に用いる醸造手法が特徴的です。
さらに、ワインツーリズムにも注力しており、宿泊施設やレストランを併設しています。訪れる人々は、ウルグアイワイン、特に彼らの手掛けるワインの魅力を体験し、歴史と自然が織りなす特別な空間で忘れられない時間を過ごすことができます。
ボデガ・フアニコ(Bodega Juanico)
「ボデガ・フアニコ」は、ウルグアイでは最も古いワイナリーで、長い伝統と歴史を誇っています。国内屈指の広大なブドウ畑を擁しながらも、彼らは高品質なワインを作り出すべく、カネロネスの独特なテロワールを深く理解し、それをワインに映し出すしています。
このワイナリーが所有する広大なブドウ畑は、カネロネスの中心部に広がっています。大西洋からの影響を受ける穏やかな気候と、粘土質を多く含む土壌にて、テロワールを生かしたクラシックなワインを手がけている点が特徴です。
また、最新の醸造技術が融合することで、クラシックながらもエレガントなワインが多く生み出されています。特に、ウルグアイの代表品種であるタナからは、芳醇なアロマと骨格のある複雑なコクを併せ持つ、洗練されたワインに仕上がっています。
『カネロネス』のワインの選び方
ウルグアイの名醸地カネロネスには多くのワインが存在していますが、実際どういった基準で選べば良いのでしょうか?
ここからはカネロネス産のワインの選び方についてご説明します。
作り手で選ぶ
『カネロネス』で造られるワインは、特に造り手の個性が色濃く反映されるのが特徴です。
同じ品種であっても造り手の哲学や醸造方法によって、その味わいは大きく変化します。まさに個性を見極める醍醐味があると言えるでしょう。
まずは、ご自身の好みに合った味わいのワインを追求する造り手であるかを見た上で、ワインを選ぶことでお好みのワインに出会うことができるでしょう。
さらには、それぞれの造り手が持つテロワールへの解釈や、ワイン造りへのこだわりを知ることで、より深く、自分好みのカネロネスワインの魅力を発見できると思います。
品種で選ぶ
カネロネスでは多くのぶどう品種が栽培されており、どれも高品質であることが特徴なので、ワイン選びの際にどの品種にするかはとても重要な要素です。
まずは、どのような味わいのワインが飲みたいかをイメージしてみましょう。そのイメージにあったぶどう品種のワインを選ぶことが、お好みのワインを見つけるための近道です。
購入時チェックリスト
カネロネスのワインを選ぶ際に役立つチェックリストをご用意しました。ぜひ購入時の参考にしてください。
- 自分好みの品種であるかどうか
- 生産者のスタイルは自身の好みに合っているか?
おすすめウルグアイの名醸地『カネロネス』5選
モダンでフレッシュなタナ「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス タナ」

100年以上の歴史を持つ家族経営のワイナリーが生み出す、その深い歴史と家族の情熱が詰まった味わいが特徴の「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス タナ」です。
このワインは、ウルグアイの伝統的なタナのイメージを覆す、驚くほどフレッシュで、口当たりの良い赤ワインに仕上がっています。
価格もウルグアイワインの中では比較的お手頃。良い品質のワインを手軽に楽しむことが可能です。
モダンでフレッシュなタナを使った赤ワインを楽しみたい方に、ぜひ一度お試しいただきたい一本です。新しいタナの魅力に気づくことができるでしょう。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: タナ 100%
- 度数: 14.0%
- 生産地: カネロネス (Canelones)
- 生産者: ピッソルノ・ファミリー・エステイツ(Pizzorno Family Estates)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 3:普通
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 5:強い
柔らかで滑らかなタンニンが特徴「フアニコ タナ・クラシック」

タナ種の力強いイメージを覆す、驚くほど柔らかで滑らかなタンニンが特徴の「フアニコ タナ・クラシック」。
国内シェア30%を誇るウルグアイの有名ワイナリー、フアニコが手掛ける代表作の一つです。長年の経験と確かな伝統に裏打ちされた品質が、この上質な味わいを支えています。
伝統を大切にしながらも、モダンな感性を取り入れた新しい味わいを求めるワイン愛好家の皆様に、ぜひ一度お試しいただきたい一本です。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: タナ 100%
- 度数: 13.5%
- 生産地: カネロネス (Canelones)
- 生産者: ボデガ・フアニコ(Bodega Juanicó)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 4:強め
ウルグアイでは珍しいタナとメルローのブレンドが特徴「ロス・ナディエス エキリブリオ」

ウルグアイでは珍しい、タナとメルローをブレンドし、ヴィンテージによってはマルベックが加えられることもある「ロス・ナディエス エキリブリオ」です。
このワインは、スミレ、火打ち石、甘草などの複雑で奥深いアロマと、しっかりとした骨格を持つタンニンが特徴です。
特にこのワインはヴィンテージによって価格が異なり、熟成されたオールドヴィンテージは、その品質の高さから非常に価値が高く、ワイン愛好家を魅了してやみません。
ウルグアイワインの多様性を感じたい方、じっくりとワインの複雑な変化を楽しみたい方、そして特別な一本をお探しの方に、ぜひともおすすめしたい赤ワインです。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: タナ、メルロー、マルベック
- 度数: 14.0% 〜 14.5%
- 生産地: カネロネス (Canelones)
- 生産者: ボデガ・ロス・ナディエス (Bodega Los Nadies)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 5:強い
フレッシュな柑橘系の香りが特徴の商品「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス アルバリーニョ」

100年以上の歴史を持つ家族経営のワイナリーが生み出す、その深い歴史と家族の情熱が詰まった味わいが特徴の「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス アルバリーニョ」です。家族経営のワイナリーが手掛ける、個性的で爽やかなアルバリーニョとして、ぜひお試しいただきたい一本です。
このワインは、驚くほどフレッシュで、口当たりの良い白ワインに仕上がっています。青リンゴやハーブ、レモン、オレンジなどのフレッシュな柑橘系の香りが特徴です。
価格もウルグアイワインの中では比較的お手頃。良い品質のワインを手軽に楽しむことが可能です。
タコのカルパッチョ、生牡蠣、烏賊の刺身など、魚介類によく合う一本です。フレッシュでモダンなアルバリーニョを楽しみたい方に、ぜひ一度お試しいただきたい一本です。新しいアルバリーニョの魅力に気づくことができるでしょう。
- 種類: 白ワイン
- 品種: アルバリーニョ 100%
- 度数: 13.0%
- 生産地: カネロネス (Canelones)
- 生産者: ピッソルノ・ファミリー・エステイツ(Pizzorno Family Estates)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 1:弱い
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 4:強め
- 果実味: 4:強め
自然な泡が特徴の一品「プロジェクト・ナッカル シンプル・ペット・ナット」

ウルグアイの自然派ワイン界で注目を集めるプロジェクト・ナッカルが手がける、ヴィーガン認証も取得したスパークリングワイン「プロジェクト・ナッカル シンプル・ペット・ナット」です。
瓶内二次発酵の途中で王冠で打栓し、発酵を続けることで自然な泡を造る「ペット・ナット(Pet Nat)」製法を用いた、まさにシンプルでありながら奥深い一本です。グラスに注ぐと、ジャスミンのような甘い花の香りと、爽やかな柑橘系のアロマが心地よく立ち上ります。
口に含むと、きめ細やかな泡立ちと共にフレッシュな風味と滑らかな口あたりが広がり、ミネラルが絶妙に調和して複雑な奥行きを生み出す味わいをお楽しみいただけます。
クオリティの高いウルグアイの自然派スパークリングワインでありながらも価格は抑えめである点も特徴的。購入しやすい価格帯なので、デイリーワインとして楽しむことも可能です。
最新トレンドを組み込んだウルグアイワインをぜひ試してみたいという方に、まさにぴったりな一本です。
- 種類: 楽天, Yahoo!ショッピング
- 品種: スパークリングワイン
- 度数: ミュスカ・オットネル 100%
- 生産地: 13.0%
- 生産者: カネロネス (Canelones)
- 内容量: プロジェクト・ナッカル (Proyectos Nakal)
- 渋み: 750ml
- 甘み: 1:弱い
- 酸味: 2:弱い
- 果実味: 3:普通
比較表
ここまでに説明したウルグアイの名醸地『カネロネス』の特徴を表にまとめました。
購入時の参考にしてもらえると幸いです。
ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス タナ | フアニコ タナ・クラシック | ロス・ナディエス エキリブリオ | ピッソルノ・ファミリー・エステイツ マユスクラス アルバリーニョ | プロジェクト・ナッカル シンプル・ペット・ナット | |
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写真 |
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|
本体価格 | 2,500 円 |
2,110 円 |
11,000 円 |
2,185 円 |
2,516 円 |
種類 | 赤ワイン | 赤ワイン | 赤ワイン | 白ワイン | 楽天, Yahoo!ショッピング |
品種 | タナ 100% | タナ 100% | タナ、メルロー、マルベック | アルバリーニョ 100% | スパークリングワイン |
度数 | 14.0% | 13.5% | 14.0% 〜 14.5% | 13.0% | ミュスカ・オットネル 100% |
生産地 | カネロネス (Canelones) | カネロネス (Canelones) | カネロネス (Canelones) | カネロネス (Canelones) | 13.0% |
生産者 | ピッソルノ・ファミリー・エステイツ(Pizzorno Family Estates) | ボデガ・フアニコ(Bodega Juanicó) | ボデガ・ロス・ナディエス (Bodega Los Nadies) | ピッソルノ・ファミリー・エステイツ(Pizzorno Family Estates) | カネロネス (Canelones) |
内容量 | 750ml | 750ml | 750ml | 750ml | プロジェクト・ナッカル (Proyectos Nakal) |
渋み | 4:強め | 4:強め | 4:強め | 1:弱い | 750ml |
甘み | 3:普通 | 2:弱め | 2:弱め | 2:弱め | 1:弱い |
酸味 | 3:普通 | 3:普通 | 3:普通 | 4:強め | 2:弱い |
果実味 | 5:強い | 4:強め | 5:強い | 4:強め | 3:普通 |
価格を調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる |
おわりに
いかがでしたでしょうか?
ウルグアイの名醸地『カネロネス』は、ウルグアイ国内における主要なワイン産地であり、数多くの個性豊かなワイナリーが集積しています。
その味わいは、豊かな果実味と、カネロネス特有の粘土質土壌がもたらすミネラル感、そして穏やかな酸味が見事に調和した、複雑かつエレガントなスタイルが特徴です。
ぜひ一度、この地のテロワールが育んだワインを試してみてくださいね。
今回の記事が、ウルグアイワイン、そして特にカネロネスの魅力に興味がある方にとって、新しい発見となれば幸いです。
※ 価格は2025年8月時点のものとなりますのでご注意ください。