こんにちは。latina-wine管理人です。
今回は日本でも有名なアルゼンチンのワイナリーであるカイケン社が作る『カイケン・エステート・マルベック』のテイスティングレビューを行っていきます。
チリのモンテス社がアルゼンチンで立ち上げたワイナリーのエントリーモデル。どんな味わいなのか楽しみです!

『カイケン・エステート・マルベック』とはどんなワインか?

カイケン・エステート・マルベックは、チリの有名なワイナリーであるモンテス社が、アルゼンチンの優れたテロワールに着目し、国境を超えて立ち上げたワイナリーである『カイケン』社が手がけるワインです。
チリで培った栽培技術・醸造技術や知識をアルゼンチンで惜しみなく発揮して作られたワイン。その中でも今回ご紹介する『エステート・マルベック』はエントリーモデルのワインで、低価格ながらも高いレベルの味わいを持った、コストパフォーマンスの良いワインと言われています。
ワインに使われている『マルベック』というブドウ品種は、力強い果実味を持ちながらもまろやかなタンニンの渋みが特徴で、カベルネ、ソーヴィニヨンのような同種の赤ワインと比較すると飲みやすい点が特徴です。
『カイケン』とはどんな作り手か?

テイスティングの前に、このワインの作り手である『カイケン社』についても説明します。
前項でも記載したとおり、カイケンはチリのモンテス社が2001年にアルゼンチンで立ち上げたワイナリーです。
モンテス社は1988年に設立された比較的新しいワイナリーで、当時安価なチリワインが多く生産されていた中、世界でも通用する高品質なワインを作るという信念のもとに立ち上がりました。
今では、モンテス・アルファといったフラグシップワインをはじめ、多くの高品質なワインを世に送り出しています。
また、カイケン社では、エントリーモデルの『エステート(Estate)』、プレミアムシリーズの『ウルトラ(Ultra)』、最高峰シリーズである『マイ(Mai)』などのシリーズを手掛けています。
モンテスもカイケンも、サステナビリティに力を入れている点も特徴です。有機栽培やバイオダイナミクス農法(ビオディナミ)などの持続可能な栽培方法を積極的に取り入れています。ブドウ栽培に適したテロワールを後世に残すという意味で、とても価値のある活動ですね。
『カイケン・エステート・マルベック』をテイスティング!
ここからはテイスティングレビューを行っていきます。「外観」、「香り」、「味わい」、「料理とのペアリング」の4項目でレビューしていきます。
ブルーベリーを思わせる濃いめの赤

まずは外観です。印象はラズベリーやブルーベリーをおもわせる濃いめの赤。ウルグアイのタナのような色の濃さはないですが、それなりに濃い色合いです。
この色合いから、ある程度の濃厚さと香り高さを持つワインであると想定できます。
ちなみにこのワインが作られたメンドーサ州は、標高が800m〜1,500mと高く、昼夜の寒暖差が大きいことから、凝縮された味わいを持つことで有名です。
この色合いも、そんなテロワールから生み出されたものか、、と考えると、何か感慨深いものがありますね。
グラスから漂う赤系果実の香り

続いて香りです。グラスを軽く揺らすとブルーベリーやブラックベリーを思わせる赤系果実の香りが飛び込んできます。
ただ、色合いから期待した香り程ではなく、比較的優しめの香りという印象です。とは言っても弱いわけではなく、思いっきり果実の香りが飛び込んでくるレベル感ではない、という香りです。
少し前にトロンテスをテイスティングした時のインパクトが残っていたからそう感じるだけかもしれません。
あと、樽の香りはあまり感じず、純粋な果実の香りが強いです。このエステートシリーズは樽熟成期間が6ヶ月と短いため、そう感じるもの思われます。
もし、バニラやスパイスといった樽の香りが好きな方は、一つ上のシリーズである「ウルトラ(Ultra)」や「マイ(Mai)」を試すと良いかもしれません。
マルベック特有のまろやかな渋みと果実味。そして酸味

では、実際に飲んでみましょう。まず、口に入ると強い果実味を感じることができます。
ただ、香りを感じた時と同じく、どーんと飛び込んでくるような香りではなく、比較的穏やかな赤系果実の香りがゆっくりと染み渡っていく印象です。
エステートシリーズであるが故の味わいかと思います。期待とは少し違いましたが、これもまた一興。2千円前後というお値段を考えたら充分に楽しめます。とてもコスパが良いと感じる味わいです。
また、マルベックらしい穏やかで滑らかなタンニンも特徴的。カベルネ・ソーヴィニヨンのような強いタンニンではなく、もっと優しく、全体の味わいを引き締めてくれるような包容感を感じます。
また、思っていたより酸味は強めです。最初、あれ?マルベックってこんな酸味強かったっけ?と思いました。昼夜の寒暖差が大きい地域で作られたマルベックだからこそそう感じるのかもしれません。
料理とのペアリング 〜 小エビのフリット 〜

では、料理とペアリングしてみます。今回合わせる料理は小エビのフリットです。
今回のペアリングは、いくつかの料理を並べてそれぞれ合わせてみた結果、一番良いと感じた料理をピックアップしてみました。
赤ワインの中でもやや重めのマルベックと海老??と感じる方もいるかもしれませんが、フリットにすることで加わる油っぽさと海老の旨みが、マルベックに対抗できるのでは?と想定して用意した一品です。
その結果は…想定通り!やや酸味が強めのマルベックが、揚げ物の余分な油を中和して海老の旨みを引き出してくれています。さらには、フリットをそのままいただいただけでは感じられない、小さな海老のワタの味わいまで強く感じられるではありませんか!
それだけ海老の味わいが引き出されたものと思われます。これは、小エビだからこそなせる技かもしれません。もし、大海老のような身を味わうタイプの素材だと、ここまではマッチしなかったと思います。
更には口の中に海老の香りが残っている状態で追いワインをすると…マルベックの酸味が和らぎ果実味が引き出される。
これは我ながらベストマッチのペアリングだと思います。美味しくいただきました。
『カイケン・エステート・マルベック』の評価まとめ
総合評価 ★★★☆☆(3〜3.5)
高級なワインには敵わないものの、果実味とまろやかなタンニンは秀逸。これで2,000円前後はコスパが良い。
渋み ★★★★☆ (4:強め)
マルベックらしい穏やかで包容感のあるタンニンの渋み。
甘み ★★☆☆☆ (2:弱め)
ほぼないが、ブドウ由来のほのかな甘味を感じる。
酸味 ★★★☆☆ (3:普通)
赤ワインの中ではやや強めの酸味。キツすぎる印象はない。
香り ★★★★☆ (4:強め)
ブルーベリー、ブラックベリーといった赤系果実の芳醇な香り。
今回テイスティングした『カイケン・エステート・マルベック』
今回、テイスティングレビューをした『カイケン・エステート・マルベック』は以下より購入可能です。
記事を読んで、興味を持った方はぜひ購入して、試してみてくださいね。
品種本来の豊かな果実味が特徴「カイケン・エステート・マルベック」
アルゼンチンの大地で育まれた、マルベックの魅力が詰まった『カイケン・エステート・マルベック』です。
このワインは、マルベック特有の黒い果実の豊かなアロマが広がり、軽やかで親しみやすいスタイルに仕上がっています。
豊かな果実味と軽快な飲み心地は、赤身の肉料理や日本の焼き鳥とも相性抜群。
価格も非常に手頃で、良い品質のマルベックを手軽に楽しめるワインです。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: マルベック 100%
- 度数: 14.0%
- 生産地: メンドーサ州
- 生産者: カイケン (Kaiken)
- 内容量: 750ml
- 渋み: ★★★★☆ (4:強め)
- 甘み: ★★☆☆☆ (2:弱め)
- 酸味: ★★★☆☆ (3:普通)
- 果実味: ★★★★☆ (4:強め)
- 合う料理: 牛肉のステーキ、ハンバーグ、ビーフシチュー
おわりに
いかがでしたでしょうか?
1945年から今まで生き続ける古樹から生まれたトロンテスは、複雑味を帯びつつもトロンテス特有の強い香りは失っておらず、ワイン通の人にも楽しんでもらえるワインではないかと感じました。
値段は3,000円台とデイリーワインと呼ぶにはすこし高めの金額感ではありますが、その価格に十分見合ったワインだと感じます。過去にトロンテスを飲んだことがある方でも、このワインは一飲の価値があるワインだと思います。
今回の記事が、ワイン好きの皆さんにとって何かしらのお役に立てれば幸いです。
※ 価格は2025年10月時点のものとなりますのでご注意ください。



