多くのワインを世界に輩出しているアルゼンチン。
低価格でコストパフォーマンスの良いワインが多いイメージがあるかと思いますが、実は多くの高級ワインも存在しています。
では、アルゼンチンの高級ワインにはどのような魅力が秘められ、どんなワインが存在しているのでしょうか?
この記事では、
- アルゼンチン高級ワインの産地、作り手
- アルゼンチン高級ワインを選ぶためのポイント
- アルゼンチン高級ワイン5選
をご紹介します。
この記事を読めば、至高のアルゼンチン高級ワインに出会えるでしょう。ぜひ最後まで記事を読み進めて、その奥深さを堪能してください。

アルゼンチンの高級ワインとは
アルゼンチンワインは「コスパに優れる」イメージが強いですが、『世界を魅了する高級ワインが生まれる銘醸地』へと進化を遂げています。
1990年代以降、カテナなどの技術革新、海外からの投資、著名批評家の高評価が重なり、品質が飛躍的に向上し、高品質なワインを作り出す産地へと進化を遂げています。
とくに、アンデス山脈の高標高畑から生まれるこれらの高級ワインは、単に高価なだけではなく、そのワイナリーの哲学と唯一無二のテロワールを表現した特別な存在として、ワイン愛好家を深く魅了しています。
アルゼンチンの高級ワインが作られる産地
アルゼンチンは南北に長い国土を持ち、それぞれのエリアごとに作られるワインの趣が異なります。
では、アルゼンチンにはどのような産地があり、それぞれどんな特徴を持ったワインが存在しているのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
メンドーサ州 (Mendoza)
アルゼンチンのワイン生産を牽引するメンドーサ州。その生産量の約70%を占めるこの広大な地で、特に標高の高いサブリージョンが、世界を魅了する高級ワインを生み出しています。
中でも「ルハン・デ・クージョ」は、メンドーサ州でも特に歴史ある銘醸地であり、アルゼンチンで初めてワインの原産地呼称(D.O.C.)が認められました。ここで造られるマルベックは、力強く凝縮感があり、濃厚で果実味豊かなスタイルとして知られています。
一方、近年急速に評価を高めているのが「ウコ・ヴァレー」です。標高900mから1,500mという高地に位置し、冷涼な気候が特徴。ここから生まれるマルベックは、エレガントで洗練されたスタイルとなり、きれいな酸味と複雑なアロマを兼ね備えています。
これらの個性豊かな産地から生まれるアルゼンチンの高級ワインは、力強さとエレガンスさを兼ね備えたワインとして、飲む者を魅了します。
サルタ州 (Salta)
アルゼンチンが誇る高級ワインは、このサルタ州でも作られています。
特に、カファジャテ渓谷は、標高1,700mから3,000mに広がる、世界でも有数の高地に畑が存在しています。昼夜の激しい寒暖差と強烈な紫外線が、ブドウの凝縮度を極限まで高め、引き締まったボディを持つワインを生み出します。
この過酷な環境が育むワインは、その鮮烈なアロマと洗練された味わいで、ワイン愛好家を魅了し続けています。
パタゴニア地方 (Patagonia)
アルゼンチン南部に位置するパタゴニア地方は、メンドーサなどと比べて冷涼な気候です。
中でも、リオ・ネグロ州(Río Negro)の冷涼な気候は、エレガントで繊細なスタイルのワイン造りに適しており、特ピノ・ノワールやシャルドネといった欧州系の品種が栽培されています。
パタゴニア地方のワインはその品質の高さから「南米のブルゴーニュ」とも称されてとり、国際的な評価を得る高級ワインを次々と生み出しています。
アルゼンチンの高級ワインの味わい
アルゼンチンの高級ワインは、マルベックを始めとするアルゼンチンの主要品種や、ピノ・ノワールのような欧州系品種を使って作られています。
品種ごとにその味わいは異なりますが、大きく分けると産地や品種によって「力強さ」と「エレガンス」の二つのスタイルが存在します。
メンドーサ州のような比較的低地で高温の地域で作られる高級ワインは、熟したブラックベリー、プラム、カシスなどの濃厚な黒い果実のアロマをもった力強さが特徴です。
逆に、サルタ州やパタゴニア地方のような、高地または冷涼な地域で作られる高級ワインは、ミントやハーブ、スパイスといった清涼感のあるニュアンスを持った、エレガンスなワインが多く作られています。
アルゼンチンで高級ワインを手がける作り手
アルゼンチン国内には多くの生産者が存在しており、しのぎを削りながらワイン作りに営んでいます。
では、どんな生産者が高級ワインを作っているのでしょうか?ここでは特に有名な作り手をピックアップしてご紹介します。
ボデガ・カテナ・サパータ(Bodega Catena Zapata)
アルゼンチンワインの品質を世界レベルに引き上げた「革命児」とも称されるワイナリーである『ボデガ・カテナ・サパータ』。
メンドーサに本拠を置き、1902年創業の長い歴史を持ちながらも、常に革新を追求するトップランナーとして知られています。
「ブドウ畑こそがワインの心臓部」という哲学のもと、高地栽培や科学的アプローチでテロワールを深く探求し、品質へのこだわりが強いです。
特に、誰も見向きもしなかった高地でのブドウ栽培を成功させ、マルベックをアルゼンチンの「顔」へと昇華させました。その品質は世界中で高く評価されており、アルゼンチンワインの新たな可能性を切り開いています。
ボデガ・チャクラ(Bodega Chacra)
アルゼンチンのパタゴニアに根差し、2004年の創業以来、マルベックではなくピノ・ノワールに特化し、「異色の存在」として知られる『ボデガ・チャクラ』
イタリアの有名ワイナリー「サッシカイア」出身の創業者は、アルゼンチンピノの可能性に感銘を受け、パタゴニアの地に自らワイナリーを設立。
自然との共生を哲学とし、化学薬品を一切使わないビオディナミ農法を徹底。ブドウ本来の個性を最大限に引き出しています。
特に冷涼なパタゴニアではフィロキセラの被害を免れた自根の古木が存在しており、唯一無二の深みをもたらします。
ボデガ・チャクラはメンドーサ州のパワフルなワインとは異なる、アルゼンチンの「エレガントな側面」を体現する特別な存在です。その繊細で奥深い味わいは、世界最高峰のピノ・ノワールとして、ワイン愛好家を魅了ています。
ボデガ・イ・ビニェードス・パスクアル・トソ (Bodega y Viñedos Pascual Toso)
ボデガ・イ・ビニェードス・パスカル・トソは、1890年にイタリア・ピエモンテ出身のパスカル・トソが創業した、アルゼンチンワインの長い歴史を代表する老舗の高級ワイナリーです。
パスカル・トソのワインは、果実の凝縮感とバランスの取れたエレガンスさを兼ね備えており、国際的なワインコンクールやワイン専門誌で数々の賞を受賞しています。
ワイナリーは、理想的なブドウ栽培地として選ばれたメンドーサ州マイプの「ラス・バランカス」地区に位置します。マイポ川の河畔に広がる水はけの良い沖積土壌が特徴で、この地のテロワールと伝統的なイタリアのワイン造りを融合させた、唯一無二のワインを生み出しています。
アルゼンチンの高級ワインの選び方
アルゼンチン国内でも高級と呼べるワインが増えてきていますが、それぞれ特徴が異なるワインがいくつも存在しています。
では、どういった基準で選べば良いのでしょうか?ここからはアルゼンチンの高級ワインの選び方についてご説明します。
産地で選ぶ
アルゼンチンの高級ワインは、産地によってその味わいや趣が大きく異なります。お好みのワインを探すにあたり、産地の違いを見極めることはとても重要です。
各産地ごとに、以下の傾向に分かれますので、ご自身に合った産地を選んで見てくださいね。
メンドーサ州:力強くパワフルな味わいのワイン
サルタ州:引き締まったボディを持つワイン
パタゴニア地方:ブルゴーニュの趣を持つワイン
作り手で選ぶ
アルゼンチンの高級ワインは作り手のスタイルや哲学によっても味わいが変わってきます。
例えば、力強さとエレガンスさを求めるなら『カテナ』、繊細さを求めるのであれば『ボデガ・チャクラ』のように、作り手の特徴を意識しながら選ぶことで、好みに近いワインに巡り合えると思います。
購入時チェックリスト
アルゼンチンの高級ワインを選ぶ際に、考慮すべきポイントをチェックリストにまとめました。購入時の参考にしていただけると幸いです。
- 産地の特徴が自身の好みに合うか?
- 作り手の特徴(スタイルや哲学)が自身の好みに合うか?
おすすめアルゼンチンの高級ワイン5選
ワイナリー最高クラスのブレンドワイン「ニコラス カテナ サパータ」

アルゼンチンワインの常識を覆す、極上の凝縮感とベルベットのような滑らかなタンニンを誇る「ニコラス カテナ サパータ」
アルゼンチンを代表するカテナ・サパータのフラッグシップとして、創業者の名を冠した最高級ブレンドワインです。マルベックとカベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたこの一本は、アルゼンチンワインの品質の高さを世界に知らしめた、まさに代表作とも言えるワインです。
黒い果実、スパイス、ミネラル、エレガントな樽香が複雑に絡み合った、非常に凝縮感のあるアロマ。力強くもベルベットのような滑らかなタンニンと、長い余韻は、長期熟成に耐えうる偉大なワインの証です。伝統と革新が織りなす、アルゼンチンの最高峰を味わいたい方にぜひ試してもらいたい一本です。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨン
- 度数: 13.5% 〜 14.5%
- 生産地: メンドーサ州
- 生産者: ニコラス・カテナ・サパータ (Nicolás Catena Zapata)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 4:強め
- 果実味: 5:強い
ブルゴーニュのグラン・クリュに比類する上品で深みのある味わい「チャクラ32 トレインタ・イ・ドス」

アルゼンチンワインの常識を覆す、パタゴニアの地が育んだ傑作「チャクラ32 トレインタ・イ・ドス」です。樹齢32年の古木が織りなす、エレガンスと深みが特徴です。
このワインは、アルゼンチンで一般的なワインのイメージを覆す、驚くほどエレガントで繊細なピノ・ノワールに仕上がっています。
自然派の造り手としても知られ、有機栽培やビオディナミ農法を取り入れた、こだわりの一本です。
ブルゴーニュのグラン・クリュにも比肩すると言われる、上品で深みのある味わい。繊細なピノ・ノワールを求める方に、ぜひ飲んでもらいたい一本です。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: ピノ・ノワール 100%
- 度数: 13.0%
- 生産地: パタゴニア地方
- 生産者: ボデガ・チャクラ(Bodega Chacra)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 2:強い
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 5:強い
パスカル・トソの最上級「アルタ」シリーズのマルベック「トソ・アルタ マルベック 」

アルゼンチン、メンドーサ州が誇る名門パスカル・トソが手がけた、最上級ライン「トソ・アルタ マルベック」です。
口に含むとブラックチェリーやカシス、プラムの豊かな黒い果実のアロマに、バニラやチョコレート、タバコのような樽熟成由来の複雑な香りが重なります。
非常に凝縮感があり、力強い骨格を持ちながらもタンニンは滑らかで、しっかりとしたストラクチャーが感じられる、深みのある味わいです。
長期熟成に耐えうるポテンシャルを持つ、パスカル・トソの最高傑作を一度お試しあれ。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: マルベック 100%
- 度数: 14.0%
- 生産地: メンドーサ州
- 生産者: ボデガ・イ・ビニェードス・パスクアル・トソ (Bodega y Viñedos Pascual Toso)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 4:強め
清涼感のあるハーブやスパイスのニュアンス、骨格が特徴「トラピチェ イスカイ マルベック&カベルネ・フラン」

アルゼンチンワインのパイオニア、トラピチェが誇る最上級キュヴェ、「イスカイ マルベック&カベルネ・フラン」は、その名が示す通り「2つのものが1つになる」というコンセプトを体現したワインです。
このワインは、メンドーサのテロワールが育んだマルベックの豊かな果実味と、カベルネ・フランがもたらす清涼感のあるハーブやスパイス、そして骨格が見事に調和しています。
非常に複雑で凝縮感のある味わいは、ベルベットのような滑らかなタンニンと、長い余韻とともに、飲む者を魅了します。
アルゼンチンワインの中でも特にエレガントで洗練されたスタイルを求める方に、ぜひ試してもらいたい一本です。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: マルベック、カベルネ・フラン
- 度数: 14.0% 〜 14.5%
- 生産地: メンドーサ州
- 生産者: ボデガ・トラピチェ (Bodega Trapiche)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 4:強め
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 2:弱め
- 果実味: 4:強め
標高2,000mを超える高地が育む圧倒的な存在感が特徴「エル・エステコ チャナル・プンコ」

「北部の雄」と称されるワイナリー、エル・エステコが誇る最高級ワイン、「エル・エステコ チャナル・プンコ」。その名はアルゼンチン、サルタ州カファジャテの特別なテロワールに由来します。
このワインは、標高2,000mを超える高地の畑で育まれたマルベック主体。極端な環境がブドウの皮を厚くし、強烈な日差しが色濃く、凝縮した果実味を生み出す特別な一本です。
濃厚なプラムやブラックベリーの果実味に、カカオやエスプレッソの香ばしさが加わり、力強くパワフルな圧倒的存在感を放ちます。アルゼンチンマルベックの中でも特別な個性を備えています。
特に筋肉質で骨太なアルゼンチンマルベックを好む方におすすめしたい一本です。
- 種類: 赤ワイン
- 品種: マルベック 100%
- 度数: 14.5% 〜 15.0%
- 生産地: サルタ州
- 生産者: ボデガ・エル・エステコ(Bodega El Esteco)
- 内容量: 750ml
- 渋み: 5:強い
- 甘み: 2:弱め
- 酸味: 3:普通
- 果実味: 4:強め
比較表
ここまでに説明したアルゼンチンの高級ワインの特徴を表にまとめました。
購入時の参考にしてもらえると幸いです。
ニコラス カテナ サパータ | チャクラ32 トレインタ・イ・ドス | トソ・アルタ マルベック | トラピチェ イスカイ マルベック&カベルネ・フラン | エル・エステコ チャナル・プンコ | |
---|---|---|---|---|---|
写真 |
![]()
|
![]()
|
![]()
|
![]()
|
![]()
|
本体価格 | 9,500 円 |
13,849 円 |
11,613 円 |
9,788 円 |
8,797 円 |
種類 | 赤ワイン | 赤ワイン | 赤ワイン | 赤ワイン | 赤ワイン |
品種 | マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨン | ピノ・ノワール 100% | マルベック 100% | マルベック、カベルネ・フラン | マルベック 100% |
度数 | 13.5% 〜 14.5% | 13.0% | 14.0% | 14.0% 〜 14.5% | 14.5% 〜 15.0% |
生産地 | メンドーサ州 | パタゴニア地方 | メンドーサ州 | メンドーサ州 | サルタ州 |
生産者 | ニコラス・カテナ・サパータ (Nicolás Catena Zapata) | ボデガ・チャクラ(Bodega Chacra) | ボデガ・イ・ビニェードス・パスクアル・トソ (Bodega y Viñedos Pascual Toso) | ボデガ・トラピチェ (Bodega Trapiche) | ボデガ・エル・エステコ(Bodega El Esteco) |
内容量 | 750ml | 750ml | 750ml | 750ml | 750ml |
渋み | 4:強め | 2:強い | 4:強め | 4:強め | 5:強い |
甘み | 2:弱め | 2:弱め | 2:弱め | 2:弱め | 2:弱め |
酸味 | 4:強め | 3:普通 | 3:普通 | 2:弱め | 3:普通 |
果実味 | 5:強い | 5:強い | 4:強め | 4:強め | 4:強め |
価格を調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる | Amazonで調べる 楽天で調べる Yahooショッピングで調べる |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
まだまだアルゼンチンの高級ワインは日本ではマイナーかもしれませんが、世界に誇るべき至高のワインが多く存在しています。
今回の記事が、アルゼンチンの高級ワインに興味をお持ちの方にとって、その魅力への理解を深める一助となれば幸いです。
※ 価格は2025年8月時点のものとなりますのでご注意ください。
▼ 『アルゼンチンワイン』について、もっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。